鉄道車両へのボード組込み事例 MIO-5850 3.5インチSBC
高速鉄道(HSR)システムは、大規模な国家プロジェクトであり、導入にあたっては、車両の運行管理をサポートする高度な技術インフラ・システムのほか、人材、財源の確保や商業、経営面などの多岐にわたる課題に直面します。それでも導入の効果は大きく、ひとたびHSRシステムが導入されれば、都市間の移動時間の短縮、交通渋滞の緩和、安全性の向上、大気汚染の削減など、人々の日常生活を劇的に改善します。
乗客案内システム(PIS)
建設インフラ、車両、運用などの「システム」の集合体であるHSRにとって、乗客案内システム(PIS)は特に重要です。PISの通信機器から液晶モニター / LEDモニターに通信データをキャスト(伝送)することで、ニュース、広告、運行情報等をリアルタイムで表示できます。同様に、オーディオスピーカーによる緊急アナウンス放送、IPカメラによる常時監視にも活用でき、緊急避難やセキュリティの向上に役立ちます。
Advantechの「MIO-5850」は、PISの通信機器に容易に組込み可能な高性能3.5インチ シングルボードコンピュータ(SBC)です。-40~85℃の幅広い環境温度をサポートするIntel® E3800プラットフォームに対応し、オンボードのメモリ(2/4GB)とeMMCストレージ(16/32/64*GB)により、強い振動や衝撃からボードの損傷を防ぐことができるため、過酷な走行環境に置かれる鉄道車両のようなミッションクリティカル・アプリケーションにおいても、安定した動作を維持できます。
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MIO-5850の特徴
「iManager 3.0」&「WISE-PaaS/RMM」
「MIO-5850」の強みは、ボード自体の高耐久性だけではありません。内部システムとして、Advantechのファームウェアエージェント「iManager 3.0」が組込まれており、OSの応答がない場合でも、アウトオブバンド管理(OOBM)によるウォッチドッグタイマー、電圧管理、動作温度監視などの安定した制御が可能です。「iManager 3.0」は、最大1Mbpsの高速RS-232やCANBusに対応し、Windows & Linux OSのドライバーとソフトウェアAPIに対する互換性を持ちます。
*「iManager 3.0」にはソフトウェア開発のためのWindows & Linux OS向けソフトウェアAPIも含まれています。
他にも、IoTデバイスのリモート管理を目的としたAdvantechのIoTソフトウェア・プラットフォームサービス「WISE-PaaS / RMM」にも対応しています。「MIO-5850」の組込みシステム上で作動し、HW/SWのステータス監視、リモート制御、システムバックアップ/リカバリなどの集中管理機能により、サーバーの冗長化と階層サーバー管理を実現します。
リモートデバイス・マネジメント
- リモート監視、制御
(電源ON/OFF、KVM) - マップ・ビュー・デバイス管理
データフロー・エディタ
- IBMノードREDフロー設計ツール
- 統合型WISE-PaaS/RMM ノード機能
- ドラッグ&ドロップでノードを
プラグイン
データ取得
- WISE-Agentのダイナミックなデータ
収集モジュール - 多様なプラグインをデプロイ
ダッシュボード・ビルダー
- マルチ・データソース・フォーマット
に対応 - Google Map、Gauge、Sparkline、Progress Barなどのウィジェットに
対応
豊富なI/O機能
CANBus、オンボードの15kv 絶縁ケーブルを備え、ギガビットイーサネット(GbE)ケーブル(3線)に対応し、IPベースのデバイスの中でも特にIP カメラをサポートできるほか、 4X COMポート、16ビットGPIO、I²C/ SMBusも備え、LEDディスプレイなどの周辺機器にも柔軟に対応します。
mini-PCIe、mSATA、M.2 E-Key(オプション)、無線LAN、3G / LTE、GPS接続など、多様な拡張オプションも備えており、お客様は自社に適したフォームファクターモジュールやストレージ容量を選択できます。
- Intel®Celeron J1900 /Atom®E3800シリーズプロセッサを搭載
- オンボードのメモリ(2/4 GB)&eMMCストレージ(16/32/64GB*)
- Intel® Gen7 GFx(Intel HD Graphics)でDX11、OpenGL3.2、OpenCL 1.2をサポート
(HWデコード:H.264 HWエンコード:H.264)
- マルチディスプレイをサポート:VGA + HDMI、VGA + LVDS、HDMI + LVDS
- GbE x 3、USB 3.0 x 1、USB 2.0 x 5、SATAII x 1、RS-232 / 422/485 x 2、RS-232 x 2、GPIO(16ビット)
- フルサイズのminiPCIe、ハーフサイズのmSATA、M.2 Eキー(オプション)
- 12-24V 電源入力、ホットプラグ保護設計、DCジャックまたはATX 4P
- -40〜85°Cの拡張温度対応
- Advantechの「WISE-PaaS / RMM」、「iManager3.0」でソフトウェアAPI&ユーティリティをサポート
- Win7(32/64ビット)、Win10(64ビット)、Linux、VxWorks、QNXをサポート
*64GBはオプション
Advantechは「MIO-5850」の他にも、ミッションクリティカル・アプリケーションに適した組込みボード製品を多数ご用意しています。
ミッションクリティカル・アプリケーション向けの組込みボードラインナップはこちら
国内での開発デザインサービスとカスタマイズ対応
日本国内においては、国内に開発・製造リソースを有する、アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)にて、キャリアボードや周辺システムの開発製造も含めた、お客様専用システムの開発製造受託サービス(DMS)を提供する事が可能です。ATJはこれまで数多くのCOM Expressボードやそのキャリアボード・システムの開発を経験しており、日本国内メーカーの要求基準を満足した、きめ細やかなカスタム対応を実施する事が出来ます。
デザインサービスの事例:
キャリアボードの開発
ケース(筐体)含めたシステム開発
CPUボード自体のカスタム対応
Advantechについて
Advantechは、IoTインテリジェントシステムおよび組込みプラットフォームの分野でグローバルトップシェアのインダストリアル・プラットフォームメーカーです。「Enabling an Intelligent Planet(インテリジェントプラネットの実現)」をコーポレートビジョンに掲げ、近年はIoT、ビッグデータ、AIのトレンドを取り入れ、エッジインテリジェンスなWISE-PaaS AIoTプラットフォームとマーケットプレイスのインダストリアル業界向けソリューションを提供し、クライアントとビジネスパートナーとが結びつきを深め、AIoT時代の新たなビジネスをCo-Creation(共創)できるエコシステムの実現を進めています。
(ウェブサイト:www.advantech.com)
アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)について
アドバンテックテクノロジーズ株式会社 (略称:ATJ、旧オムロン直方) は、Advantechグループの日本国内拠点として、Advantech製品の販売ならびに、医療設備、ロボット産業、設備産業などのインダストリアル向け電子機器のMade In Japan 開発・製造サービス(DMS/ODM/EMS)を提供しています。Advantechの豊富なAIoT関連製品を日本国内のお客様ニーズに合わせたカスタマイズサービスにも対応し、AI x IoT時代の新たなデザイン・イン・サービスをご提案致します。