AMR制御に特化したシステム「AFE-R770」をリリース
~ ワイドレンジの動作温度・電圧範囲、耐衝撃性、静電気対策で、過酷な環境での動作を保証 ~
アドバンテック株式会社(TWSE:2395 東京都台東区、以下、アドバンテック)は、AMR向け専用システム「AFE-R770」の発売を開始します。
自律搬送型ロボット AMRは、人件費の増加、働き手の不足・高齢化などの問題が世界的に高まる中で、その利用シーンは広がり、進化を続けています。アドバンテックは、このAMRの制御に特化したシステム「AFE-R770」を開発しました。
この「AFE-R770」は、筐体サイズはもちろん、ワイドレンジの動作温度・電圧範囲や、耐衝撃性、静電気対策、無線による接続性など、AMRへの組込みを追及したシステムで、LiDAR、カメラ、IMU、車両、バッテリーなどAMRに必要とされる機能の構成に不可欠なデバイス類とのシームレスな統合を目指しました。
また、アドバンテックは、AMR向けのOSやドライバー、ROS2開発環境、AIツール、シミュレーション機能、SLAM、およびナビゲーションツールなども提供しており、ハードウェアとソフトウェアの両軸でAMR開発の効率化に貢献します。
AMRを構成するさまざまな周辺デバイスとの接続をサポート
【AMRフォークリフトにも最適 〜 外部デバイスの効率を高めるI/O設計 〜】
AMRフォークリフトでの利用シーンを考慮し、LiDARやカメラの接続用として、2.5 Gigabit に対応したLANポートを4つ搭載。また消費電力の高いTOFカメラをサポートできるように1.5Aの消費電流に対応したUSBポートを備えています。車両部とのインテグレーション用にはCANBusやCOMポートも実装し、さらにアラーム/緊急スイッチ/警告灯などの制御用に、絶縁型16ビットDIO搭載しています。
また入力電圧は9〜36V DCとワイド範囲をサポートし、バッテリー駆動中の電圧変動を吸収して安定した動作を可能にしました。さらにイグニッションスイッチ設計により、旧来型のフォークリフトと完全電動式のフォークリフトの両方への対応が可能となります。この包括的なI/O設計は、さまざまなフォークリフトのシナリオで効率的かつ信頼性の高い環境を実現します。
【AMR内部の限られたスペースに適応 〜 効率的な熱管理による薄型デザイン 〜 】
AMRは、運搬という目的を効率よく実現するためにより広い荷台スペースが求められます。そのため制御システムを設置するスペースが限られることから、サイズや放熱対策が採用における重要な要素となります。アドバンテックは内部のシャーシ設計がますます狭くなっていることを考慮し、「AFE-R770」の高さをわずか55mmに抑え、限られたスペースへの取り付けを可能にしました。また狭いスペースで懸念される温度上昇問題については筐体の放熱設計を強化することにより、ファンレスモデルは最大65℃まで、外部ファンを追加することで最大70℃までの温度環境で動作することができます。
【広い敷地でのオペレーションの要件にも対応 〜 安定性と接続性 〜 】
従来の固定された装置とは異なり、自律走行のAMRはアースが取りづらくノイズや静電気からの干渉が受けやすくなります。この課題に対処するため「AFE-R770」の重要なI/Oインターフェイスは、絶縁設計となっています。これによりTVS保護機能を備えたESD保護のレベルは接触放電で8KV、空中放電で15KVに引き上げられ、AMRはノイズや静電気干渉の影響を受けることなく、より安定して動作することができます。
屋外や高精度の屋内アプリケーションにおいて、信号強度が弱い場合、AMRに正しい姿勢と正しいトラッキング機能を提供するためにIMU(慣性計測装置)はとても重要な役割を担います。「AFE-R770」は内部の拡張機能でIMUをサポート。Movella社のIMUと組み合わせることで一貫した磁気環境が構築でき、システムの安定性を高めます。
また広い屋内スペースでは、異なるアクセスポイント(AP)に切り替わる際、ネットワークの切断の問題が発生することがよくありますが、「AFE-R770」にM.2接続のワイヤレスモジュール「AIWシリーズ」を実装することとで、高速ローミングに加え、自動でネットワーク信号の強度を検出し、移動中であっても常に最適なAPとシームレスに接続することで、このネットワーク切断問題を防ぐことができます。
「ROS2 Suite」でAMR開発をより加速させる
AMRの開発チームの進歩を支援するために、アドバンテックは、初期段階におけるソフトウェアとハードウェアの互換性テストやドライバー、ROS環境、ユーティリティ、AIツールなどをパッケージ化した「ROS2 Suite」を無償で提供しています。
●「ROS2 Suite」には、AMRの利用シーンに合わせた、制御パラメータの調整や、サンプルコードなども収録
● 車両制御、ナビゲーションとSLAM、シナリオシミュレーション、パレットバーコード認識、およびその他のユーティリティをサポート
▶ 「ROS2 Suite」 詳しくはこちら
「AFE-R770」の主なスペック
CPU | 第14/13/12世代 インテル® Core™ i3 / i5 / i7 / i9プロセッサ |
チップセット | H610E / R680E |
メモリ | デュアルチャンネルDDR5 4800 MHz (最大64GB) |
内蔵グラフィックス | インテル® UHD Graphics 770 |
拡張スロット | 1 (M.2 E-Key 2230) 1 (M.2 B-Key 2280 3042/3052) 1 (IMU Socket) |
ストレージ | 1 (M.2 M key (PCIex4+SATA)) 1 (M.2 B key (PCIex2+SATA)) |
映像出力 | 1 (HDMI) |
LAN | 4 (2.5GbE) Wake On Lan対応 |
USB | 4 (USB 3.2) 各ポート最大1.5Aまで給電可能 |
COM | 4 (RS-232/422/485) |
DIO | 1 (絶縁8bit DI/8bit DO :電圧レベル5V) |
Audio | 1 (Mic-in) 1 (Line-out) |
CANBus | 2 |
外部FAN用電源 | 1 (12V 1A) |
リモートスイッチ | Power switch / Reset / WDT / Power LED / SATA LED |
本体サイズ・質量 | 200 x 55 x 215 mm (突起物含まず) / 2.7kg |
電源 | 9 - 36V DC |
使用温度範囲 | 外部FANなし : -20 〜 65℃ 外部FANあり : - 20 〜 70℃ (共に35Wプロセッサと温度拡張ストレージおよびメモリ使用時) |
サポートOS | Windows 10、Ubuntu 22.04 |
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