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産官学連携プロジェクト研究成果 福岡県直方市の防災システムに採用

2024/07/05
概要

アドバンテック研究開発センターは、福岡県直方市に位置し、福岡県の各レベルの政府機関や福岡大学、九州工業大学などの高等教育機関と長年にわたり緊密な協力関係を築いてきました。多くの産官学連携プロジェクトの中で、2020年に直方市の依頼により開始された北九州遠賀川流域スマートゲートシステム研究プロジェクトは、特に注目されています。2022年、日本の行政機関の一つである総務省によって国家戦略情報通信研究開発推進事業の一つとして選定されました(Strategic Information and Communication R&D Promotion Programme, Project Code: SCOPE)。

研究成果は、2024年4月に福岡県直方市が管轄する防災プラットフォームの中の水位監視システムとして正式に導入され、極端な気候、高齢化、人手不足などの様々な課題に対処するために、リアルタイム監視と遠隔操作を行う洪水防止システムとしての役割を期待されています。


福岡県直方市に設置されたスマートゲートシステム

スマートゲートシステムのダッシュボード画面
研究プロセスとシステム構築

1970年代以前、北九州遠賀川流域は主に炭鉱が主要産業でしたが、1975年に政府が産業転換を宣言し、山林の伐採が停止された後、炭鉱採掘による地盤沈下が進み、遠賀川流域沿いには770基の洪水防止ゲートが設置され、これは日本全体の洪水防止ゲートの約10%を占めています。直方市内には約60基あります。調査によると、日本の洪水防止ゲートシステムのほとんどは町に設置されており、その操作員のうち88%が50歳以上の労働者であり、高齢化が進んでいる労働力構成の現象が見られ、政府は対応策の研究プロジェクトを展開しました。

しかし、洪水防止ゲートシステムの再構築コストは高額です。そのため、2020年2月に直方市は福岡大学電子情報工学科の大橋研究室とアドバンテックと連携し、LoRaWAN技術をベースにしたスマートゲートシステムの研究プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、アドバンテックの産業用ワイヤレスモジュールとエッジコンピュータを組み合わせ、過去4年間にわたって、様々な降雨状況下で直方市内の22箇所のモニタリングポイントで水位のリアルタイム状況を記録し、1箇所の洪水防止ゲートにおいて遠隔操作を行いました。この産官学連携研究プロジェクトは2022年にNHKで報道され、また総務省の特別支援研究プロジェクトにも選ばれました。


福岡大学の大橋教授が学生を率いて、アドバンテックのエンジニアチームとともにスマートゲートの設置地を現地調査しました。

2022年、福岡大学の大橋研究室はアドバンテックの直方工場内で研究段階の成果を共有しました。総務省、国土交通省、直方市も参加されました。
成果

この研究は2024年3月に終了し、研究成果が正式に直方市に採用され、防災システムの一部となりました。今後はシステム統合パートナーとの共創を実現し、段階的に日本市場で受け入れられることを期待しています。

この4年間の研究成果は以下の3つの側面からまとめることができます:

  1. ブランド認知度
    (1)福岡大学、九州工業大学との共同研究開発、政府機関での成果採用
    (2)上記2つの大学との4年間にわたる多数のセミナーの開催、強固な関係の構築
    (3)福岡大学出身の修士号取得者をエンジニアスペシャリストとして採用
    (4)研究プロセスがNHKの特集で報道され、国土交通省の論文に掲載されました
    (5)福岡県知事と九州総合通信局長がアドバンテック直方工場を訪問し、プロジェクトの進捗と成果を把握
  2. 製品品質
    (1)複数のノードを遠隔で制御可能なIoT通信ソリューションの開発に成功しました。
    (2)このソリューションはさまざまな気象条件でテストされました。
    (3)異なる通信技術の統合業者やゲート設計製造業者との緊密なパートナーシップを築きました。
  3. 市場洞察
    (1)極端な気候や人手不足などの問題に対処するためのIoTソリューション設計の経験を積み重ねました。
    (2)ユーザーおよび協力パートナーの視点から製品の適用方法を考えることを学びました。

日本は現在、少子高齢化、環境問題、災害の激甚化など様々な問題に直面しています。

今回は、産学官連携により防災分野における課題解決にチャレンジして成果を残すことができましたが、他にも社会課題はたくさん存在します。これからもアドバンテックはパートナーとの共創を大切にし、先端技術を活用したソリューション提案により、社会課題の解決にチャレンジすることで世の中のお役に立ちたいと考えています。


2023年に総務省 九州総合通信局長がアドバンテック直方事業所を訪問されました。今回のプロジェクトに関する多くの有意義なアドバイスをいただきました。

2024 直方市・福岡大学・九州工業大学で実施する河川管理に関する研究成果発表会

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