ヘリコプターへのボード組込み事例 SOM-9590 COM-Express
ミッションクリティカル・アプリケーションとして、ダウンタイムが致命的となるミリタリー・アプリケーションでは、過酷な環境においても、ビッグデータとリアルタイム分析を安定して処理できる高耐久かつ高性能なコンピュータが必須とされており、同様に、システム等の要件についても、高いレベルが求められます。
ヘリコプターのOSコンソール・システム
戦術用コンピュータの設計と製造に長年の経験を持つ世界トップ10のミリタリー・ソリューションプロバイダーであるB社は、地図ベースのオペレーター・インターフェース、高度なセンサーマネジメント、自律制御機能を備えた、新たなヘリコプターのOSとコンソール・システムの開発を計画していました。
このシステムは他にも、ビデオ分析、ミッション記録、ジョイスティック操作などのパイロット向けの高度機能の実装を予定しており、超高性能コンピューティング処理が可能で、かつ、過酷な利用シーンに対応した温度対応や信頼性を確保したモジュール・ボードを必要としていました。
システム実現にむけた課題
ヘリコプターの機械的制限と過酷な動作環境に置かれるモジュールは、MIL規格への対応が求められます。ヘリコプターのMIL規格には、スリムなフォームファクタ、オンボードメモリ設計(はんだ付け)、幅広い動作温度対応(-40~85 °C、104~185 °F)などの高耐久設計および動作信頼性が必須要件となるため、モジュール・ボードのベンダーは、そのものづくり技術とプロセスで、確実な品質を実現・維持しなければなりません。
また、B社は顧客から、厳格なテストに耐えられる評価サンプルを早期に提供するよう求められていました。従って、B社は上記の要件を備え、容易なメンテナンスと将来における性能のアップグレードに対応可能なCOM Express のモジュール利用を検討しました。
ソリューション
B社は、過酷な動作環境下でも機能する設計要素を備えたAdvantechのCOM Express R3.0 Basic Type 7モジュール「SOM-9590」を採用し、パイロット向けの多様な機能を備えたOS・コンソールシステムを完成させました。「SOM-9590」は、Intel Xeonプロセッサ (最大16コア) 、オンボードのDDR4メモリ(最大32G)およびSSDストレージ(16G、SLC)など、産業グレードのパーツを搭載しており、MIL規格「MIL-STD-810G」の認定を取得しています。
MIL規格「MIL-STD-810G」 アメリカ国防総省が制定したアメリカ軍の資材調達に関する規格で、過酷な環境条件などにおいて、製品の信頼性と耐久性を証明する。 |
また、最大7.7Grms(Method番号 514.7C-4)の振動に耐え、高度15,240 m(50,000フィート)(Method番号 500.6 Procedure Ⅱ)、幅広い温度範囲(-40〜85°C/104〜185°F)で動作できるためヘリコプターなどの過酷なミッションクリティカル・アプリケーションに対応できます。
品質に関しても、IPC-A-610G(電子組立品の許容基準)のClass3(最高品質)の認定を受けています。 Class 3はIPC (米国電子回路協会)により、ミッションクリティカル・アプリケーションに対する品質を満足するレベルであると定義されています。
SOM-9590の特徴
サーバーグレードで高性能を発揮
- TDP 35WのIntel® Xeon® プロセッサD1539(最大16コア)
- iManager、WISE-PaaS、組込みソフトウェアAPI
- 10.3mm(0.4インチ)のロープロファイルモジュール
優れた帯域幅とコネクティビティ
- 構成変更可能なPCIe(Gen3) x16、 x8 、 PCIe(Gen2) x1(7ポート)
- 2 X 10GBASE-KRインターフェースおよび1 X 1000BASE-T
- USB 3.0/2.0、 SATA Ⅲ、UART、GPIO、I2C
- ハードウェアベースでデータを保護するTPM
極限環境でも常時ノンストップで稼働
- オンボードのECCメモリ(最大32GB)とSATA SSD(16GB)
- MIL-STD-810G 認定取得
- IPC-A-610G Class3 認定取得
- 拡張温度対応(-40~85℃)
- BMCとIPMIによるエージェントレス管理
アドオンサービス
- オンボードコーティングサービス
- MIL規格に対応可能な長寿命(7~15年以上)
- プリブート環境を保護するセキュアブート
- エンドポイント保護用の「McAfee」のブラックリスト技術
Advantechは「SOM-9590」の他にも、ミッションクリティカル・アプリケーションに適した組込みボード製品を多数ご用意しています。
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国内での開発デザインサービスとカスタマイズ対応
日本国内においては、国内に開発・製造リソースを有する、アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)にて、キャリアボードや周辺システムの開発製造も含めた、お客様専用システムの開発製造受託サービス(DMS)を提供する事が可能です。ATJはこれまで数多くのCOM Expressボードやそのキャリアボード・システムの開発を経験しており、日本国内メーカーの要求基準を満足した、きめ細やかなカスタム対応を実施する事が出来ます。
デザインサービスの事例:
キャリアボードの開発
ケース(筐体)含めたシステム開発
CPUボード自体のカスタム対応
Advantechについて
Advantechは、IoTインテリジェントシステムおよび組込みプラットフォームの分野でグローバルトップシェアのインダストリアル・プラットフォームメーカーです。「Enabling an Intelligent Planet(インテリジェントプラネットの実現)」をコーポレートビジョンに掲げ、近年はIoT、ビッグデータ、AIのトレンドを取り入れ、エッジインテリジェンスなWISE-PaaS AIoTプラットフォームとマーケットプレイスのインダストリアル業界向けソリューションを提供し、クライアントとビジネスパートナーとが結びつきを深め、AIoT時代の新たなビジネスをCo-Creation(共創)できるエコシステムの実現を進めています。
(ウェブサイト:www.advantech.com)
アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)について
アドバンテックテクノロジーズ株式会社 (略称:ATJ、旧オムロン直方) は、Advantechグループの日本国内拠点として、Advantech製品の販売ならびに、医療設備、ロボット産業、設備産業などのインダストリアル向け電子機器のMade In Japan 開発・製造サービス(DMS/ODM/EMS)を提供しています。Advantechの豊富なAIoT関連製品を日本国内のお客様ニーズに合わせたカスタマイズサービスにも対応し、AI x IoT時代の新たなデザイン・イン・サービスをご提案致します。