乳幼児健診会場での実証実験 (ひとみるAIサーモスキャン)
AIを使って社会課題に挑戦
2020年7月 アドバンテックテクノロジーズ(社長 石田隆裕)と福岡県直方市(市長 大塚信弘)は共同で、社会空間として特に行政による人の集まる場所に対する新型コロナウイルスへの感染対策確立へ、より一層の加速を進めるための、「サーモスキャン・システム」や「”密”をみるシステム」など、人をみるAI技術を利用した実証実験を開始しました。
人をみるAI技術による課題解決
AI技術は社会空間の様々なシーンで活用されており、生活の安心や仕事の効率化など、AIと共に暮らす社会はますます当たり前化してゆきます。AdvantechのAIソリューションは、物体・人物・情報など様々なものをAIで処理する為のプラットフォーム群を提供しています。今回の実証実験では、その中でも”人”をみるAI技術 「ひとみるAI」を活用したソリューションが活かされました。
乳幼児健診での活用
今回の実証実験では、市の運営する乳幼児健診の受付会場が候補として選ばれました。
昨年までの直方市における乳幼児健診会場では、健診室の直前での受付を実施していましたが、今年度は新型コロナウイルス感染対策を検討した結果として、検診室と受付の距離を取り、母子だけでない不特定の来場などによる、万が一のリスクに備えてのスクリーニングプロセスの導入を行いました。更に受付の前に、サーモグラフカメラによる検温と、会場の混み具合を母子や来場者に伝えるサイネージシステムを連動させることによって、そのスクリーニングプロセスは、効率化と強化を両立する事ができました。
検温と密の見える化
今回の実証実験で利用されたのは、Advantech 「ひとみるAI サーモスキャン・システム」と「”密”をみるシステム」です。
「サーモスキャン・システム」は、赤外線カメラ(サーモグラフカメラ)を利用し、カメラに映る複数の人物と顔を高速に検知し、額部の体表温度を測定、簡易的な検温を行います。 検温結果と、検出前後の状況はドライブレコーダーのように記録され、有事の場合の履歴検索や状態分析・周囲状況などを分析する事が可能です。このシステムの利用は、多数の人が集まる場所での検温作業にかかる労力の省人化と、履歴管理による状況把握とトレーサビリティ能力の強化につながります。
動画事例: 抱っこしていても顔を検出し検温 |
動画事例: 身長差があっても顔を検出し検温 |
「”密”をみるシステム」は、AIピープルカウント・カメラを利用し、特定エリア内の人数の出入り状況の計測と、混雑状況の分析・表示を行えます。この技術を利用して、健診会場の定数と実利用数、待ち時間などを算出し、来場者にその状況を伝える事ができます。これにより、来場者の安心感と、適切な定数管理による”密”の回避・混雑状況のマネジメント強化に役立ちます。
今後に向けて
これらのシステムを利用した直方市での実証試験は、乳幼児健診をはじめ、行政による人の集まる様々なシーンで検証中または予定されており、各々の現場における最適な感染抑制対策の確立に向けた研究に利用されます。
直方市 副市長 秋吉恭子コメント
新型コロナウイルス感染症につきまして、直方市ではこれまで手探りの状況の中で、様々な対策を検討し、取り組んで参りました。このような中において、心強く感じましたのは、市民と企業の皆様の志であり、それぞれ大変な状況であるにもかかわらず、多くの方々が行政に対して協力してくださっていることが、私たちの支えとなりました。
アドバンテックテクノロジーズ社におかれましても、非接触型の体温計の流通がまだ少ないにもかかわらず、多くの体温計を市に寄付していただきました。心から感謝しております。そして、今回、実証実験という形で、直方市に、AIを活用した「サーモスキャン・システム」という最新技術を紹介していただくこととなりました。
このような先進的な技術を、今後直方市におきましても、活用する場面を増やすことができればと考えております。この実証実験の成功を心から祈っております。 |
直方市 産業建設部 商工観光課長 長田正志コメント
現在、新型コロナウイルス感染症をはじめ、大雨などの自然災害が市民生活への脅威となっており、これらの災害に対する備えとして、行政の現場においても、より一層IT技術の活用を加速することが求められています。
このたび直方市の様々な行政活動の場面における新型コロナウイルス感染症対策を検討するにあたり、地元企業でありますアドバンテックテクノロジーズ社が持つ先進的なAI技術やIoT技術を活用できますことは、非常に心強く感じておりますとともに、昨年、経済産業省から認定を受けた直方市IoT推進ラボの活動としても、民間企業と連携したこの取組には大きな意義があると考えております。
最後に、今回アドバンテックテクノロジーズ社と共同して実証実験を行いました「サーモスキャン・システム」や、「”密”をみるシステム」が、現場スタッフの省人化と信頼性の高いデータのマネジメントを両立させる画期的な技術になることを、心から期待しております。 |
アドバンテックテクノロジーズ 代表取締役社長 石田隆裕コメント
日本国内においては、新型コロナウイルスに関する危機は、まだまだ簡単には収まらない状況を見せております。 今回の直方市による実証実験では、行政や市民の安全・健康に対しての課題に、検討を共に進めさせて頂く事ができ、同時に地域社会への貢献もできることは光栄です。
台湾に本社のあるAdvantech社は、グローバルでも有数のAIとIoTに関するメーカーであり、今後ますます加速する日本国内でのAI化・IoT化の流れの中で、日本国内における開発・生産・物流・販売を担う、私共アドバンテックテクノロジーズが担う役割と使命は大きなものがあると認識しています。
今回は、Advantechの「人」を見るAI技術を利用して、自動検温や混雑度の把握などを実際の現場課題に直結し、これからの「New Normal時代」に社会から必要とされる技術の確立を直方市と共に検討させて頂きました。 これらの実証実験で得られたノウハウは、弊社と台湾の開発部隊によって速やかに改善を進め、日本国内だけでなく、全世界で利用できるソリューションとして進化を続け、人々の安全・健康に役立てたいと考えております。 |
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