セルフサービスロッカーによる感染抑制対策の推進
オンラインショッピングと配送サービスを提供する世界的な大手eテイラー(以下B社)は、米国、ヨーロッパ、メキシコ、日本、カナダなど数百の大都市圏で商品の集荷と返品のためのセルフサービスロッカーの導入を目指していました。このセルフサービスロッカーにより、COVID-19によるパンデミック環境下や、その後のNew Normalな社会環境の中で、人は安全に荷物の受け渡しが行う事ができるようになります。
セルフサービスロッカーの実現に向けた課題
セルフサービスロッカーを設計するには、コンピュータ化されたKIOSKが必要です。また、開発プロセスは複雑で多面的なため、入出力デバイスは、正常動作を保証する大きな金属製筐体に納めなければなりません。一方、コンポーネントは、制御コンピュータ、LCDパネル、カメラ、無線通信、バーコードスキャナー、無停電電源装置(UPS)、その他の重要な周辺機器で構成されます。
開発段階における大きな課題は、それら機器を接続し、信頼性をもって制御するためのAPI開発にありました。更に、筐体内に収める制御コンピュータに対しては、コンパクトな高耐久設計で、ファンレスでありながら過酷な環境で動作するのに十分な信頼性があり、多くのI/Oを搭載し、ハードウェアとファームウェアの両方で堅牢なセキュリティ機能をサポートするという厳しい要求がありました。 更に、安定した供給や長期供給を行える製造能力や世界中に展開される商品へのサービス体制が制御コンピューターに対して求められました。
ソリューション
グローバルサービス体制
これらの条件に合致したのがAdvantechでした。Advantechは世界各地にサービスセンターを13拠点(2020年7月時点)を有しており、B社のすべてのビジネスエリアでローカルサービスを提供できるため、B社側のコスト削減に貢献できることからも、パートナーに選ばれる要因となりました。
2019年10月1日、Advantechグループの中でも最大のキャンパスを保有している、福岡県 直方市(のおがた) アドバンテックテクノロジーズ株式会社のキャンパス内に、新しいサービスセンター機能として、名称「アドバンテック・ジャパン・サービスセンター(Advantech Japan Service Center(AJSC))」を正式に開設しました。 |
制御コンピュータのソリューション
B社はAdvantechのIntel Atom E3940 Quad Core Socを搭載したボックスPC「ARK-2232L」を採用しました。「ARK-2232L」はUSB、RS232、デュアルディスプレイ(VGA / HDMI)などの複数のI / Oを備えたファンレスで高耐久設計のBOXソリューションです。加えて、AdvantechはB社独自のI / O構成要件をサポートするBIOSカスタマイズサービスを提供しました。
「ARK-2232L」はリモート管理機能に対応しており、B社はリモートでデバイスを集中管理して、システムステータス、CPU / HDD温度、CPU負荷、電源のON / OFFをチェック・管理できるようになり、定期的なメンテナンスやトラブルシューティング、セキュアブートなどの"TCPA(Trusted Platform Computing)"に基づいた堅牢なセキュリティ機能を容易に実行・管理することができました。
結果
「ARK-2232L」は省スペースへの設置が容易であり、複数のI / Oインターフェースに対応できるため、B社はセルフサービスキオスク内のすべてのデバイスのリモート制御に成功し、セルフサービスキオスク全体の開発コスト削減を最大化するのに貢献しました。
ARK-2232Lの特徴
- Intel Atom E3940 Quad CoreSoc
- 1X 4K HDMI、1 X VGAを備えたデュアル独立ディスプレイ
- ロック可能なDCジャック電源入力(12V)
- 9-36Vの電源モジュール
- -20〜60°Cの幅広い動作温度範囲に対応
- 通信モジュール用のSIMホルダーを備えたMini PCIe
- M.2 NGFF 2230 E Wifi通信モジュールキー
- mSATAおよび1 x 2.5 "SATAストレージデバイス
- AdvantechのiDoorモジュールとの互換性
ARKシリーズの特徴
ARK-2232のI/O レイアウト図
エンベデッドBIOS
Advantechは、システムインテグレータが必要とする優れたパフォーマンス・互換性を備えたフル機能の『エンベデッドBIOSソリューション』を提供します。 様々なオプションと拡張機能により、お客様は幅広いターゲット市場に製品を適合し、投入できます。またセキュアブートオプションにより、POSTの実行時間は最適化され、オペレーションシステムのテイクオーバー(引継ぎ)を保護します。さらに、DMI、BIOS構成、モジュールなど、複数のOS用のカスタムファームウェアツールを構築するためのファームウェアユーティリティを搭載しています。
POST 【 Power-On Self-Test 】 パワーオンセルフテスト / 電源投入時自己診断テストコンピュータや情報機器の電源投入時やリセット時に実行される、装置や回路のチェックや初期化などの処理のこと。OSの起動前にBIOSなどが行う様々な処理の総体を指すことが多い。 IT用語辞典参照 |
国内での開発デザインサービスとカスタマイズ対応
日本国内においては、国内に開発・製造リソースを有する、アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)にて、キャリアボードや周辺システムの開発製造も含めた、お客様専用システムの開発製造受託サービス(DMS)を提供する事が可能です。ATJはこれまで数多くのCOM Expressボードやそのキャリアボード・システムの開発を経験しており、日本国内メーカーの要求基準を満足した、きめ細やかなカスタム対応を実施する事が出来ます。
デザインサービスの事例:
キャリアボードの開発
ケース(筐体)含めたシステム開発
CPUボード自体のカスタム対応
Advantechについて
Advantechは、IoTインテリジェントシステムおよび組込みプラットフォームの分野でグローバルトップシェアのインダストリアル・プラットフォームメーカーです。「Enabling an Intelligent Planet(インテリジェントプラネットの実現)」をコーポレートビジョンに掲げ、近年はIoT、ビッグデータ、AIのトレンドを取り入れ、エッジインテリジェンスなWISE-PaaS AIoTプラットフォームとマーケットプレイスのインダストリアル業界向けソリューションを提供し、クライアントとビジネスパートナーとが結びつきを深め、AIoT時代の新たなビジネスをCo-Creation(共創)できるエコシステムの実現を進めています。
(ウェブサイト:www.advantech.com)
アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)について
アドバンテックテクノロジーズ株式会社 (略称:ATJ、旧オムロン直方) は、Advantechグループの日本国内拠点として、Advantech製品の販売ならびに、医療設備、ロボット産業、設備産業などのインダストリアル向け電子機器のMade In Japan 開発・製造サービス(DMS/ODM/EMS)を提供しています。Advantechの豊富なAIoT関連製品を日本国内のお客様ニーズに合わせたカスタマイズサービスにも対応し、AI x IoT時代の新たなデザイン・イン・サービスをご提案致します。