AIで高速化する倉庫のラベル読取り
背景
ロジスティクス市場は、世界的なオンラインビジネスの拡大、そして業務の効率化を背景に急速に拡大しています。こうした状況の中、コストカットした費用がそのまま利益につながる産業であるため、市場では熾烈な競争となっています。こうした中、迅速かつ正確な出荷を実現するために、高性能なハードウェアを搭載したインテリジェントなシステムが重要な要素となります。
課題
こうした競争の中、配送に求められるニーズは、1週間から翌日、あるいは当日配送と、その期間はますます短くなっています。開発者やサービスプロバイダーは、処理時間を短縮するためAIを用いたソリューションに向けた取り組みを行っています。
こうしたAIソリューションの信頼性と安定性を確保するため、高速にAIを実行するGPUを搭載した産業向けの組込みPCが必要です。さらに、倉庫や配送センターは毎日長時間稼働して、かつコンベア、ロボット、AGVなど多くの電子機器類が稼働していることを考慮しなければなりません。なぜなら、組込みPCに予期せぬ電磁波障害が発生してしまう可能性もあるからです。
ソリューション
アドバンテックのSIパートナー企業は、無人で寸法・重量計測やラベルスキャンを行うAIソリューションを開発しています。これらのソリューションは、一般的にDWS(Dimension Weighing and Scanning)システムと呼ばれ、各システムには、AIソフトウェアを搭載した組込みPC、1D/2Dバーコード画像や手書き情報をPCに転送するHD IPカメラ、各パッケージの寸法・重量を測定するスケール、光学センサーを構成する必要があります。
AIを活用したDWSシステムで、配送・追跡を効率アップ
あらゆるラベルデザインに対応するため、DWSシステムでは、様々な向きや状態のバーコードを読み取る他、テキストや手書き情報もデジタル化し、スムーズで効率的な配送・追跡を実現します。配送ラベルの読み取りは人件費や処理時間に大きく影響するため、コンベアで移動しているわずかな時間の中で、バーコードの歪み・破損・ズレや手書き情報の不鮮明さ・かすれなどを認識するAIソリューションも搭載しています。
アドバンテックの組込みPC「EPC-B3588」:あらゆる倉庫環境でもAIを運用するのにベスト
パワフルな第12世代Intel® Core™ プロセッサーを活用し、AI作動のためNVIDIA RTX A4500 GPUを搭載した組込みPC「EPC-B3588」 が採用されました。この組込みPCは、多数のPCIe拡張スロットを活用し、AIを駆使したDWSシステムのマルチタスクワークロードをサポートします。例えば、PCIe x16 Gen5では、プロセッサーとアドオン・グラフィックスカードの間で高速信号の伝送が行われ、内蔵のRTX A4500がグラフィックス処理を高速化し、AIの動作ラグやサービス品質の劣化を回避することができます。
あらゆる倉庫環境向けに設計されたEMC/ESD対応製品
EPC-B3588は、アドバンテックの長年の産業用ソリューションの経験をもとに開発されました。Intel® Core™ i CPU、NVIDIA RTX GPUを搭載、また、スムーズな動作を実現するためにサーマル設計にも工夫を凝らしています。さらに特長的な点として、「EMC/ESD対策」が挙げられます。工業環境(IEC 61000-6-2, 6-4)、住宅環境(IEC 61000-6-1, 6-3)をEMC条件でクリアしており、IEC Level 4基準のESD(接触8kV、空中15kV)にも耐えられるため、大量のビジュアルコンピューティングを行うあらゆる倉庫環境で最適なソリューションとなっています。
ラベルの読取速度が高速&人件費の削減に貢献
アドバンテックとSI企業が協同開発に取り組むことで、複雑なハードウェア・プラットフォーム開発ができるようになり、煩雑なシステム保守や遅延を回避し、ビジネス開発に集中することができました。さらに、配送ラベルの読み取り率が向上したことで、人件費削減に大きく貢献しました。
急速なオンラインビジネスの拡大に伴い、今後、倉庫内のあらゆる業務やワークフローがデジタル化され、AIを活用したソリューションによって強化されるでしょう。アドバンテックは、こうした市場で様々なビジネスチャンスを開拓するため、EPC-B3000シリーズでスマートウェアハウスソリューションの効率をさらに向上させていきます。