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コンプレッサメーカーの保守サービスをIoTで強化

2021/01/13

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エアコンプレッサ業界について

エアコンプレッサは、製造過程における力学的エネルギーを転換させる主要ソースとして製造業者に盛んに使用されており、重量物持ち上げ、運搬、タイヤ空気充填、ダスト除去、塗装、コーティング、真空包装、切断、縫製など、数多くの業界やアプリケーションに採用されています。コンプレッサーが突然故障してしまうと、作業の中断期間が発生し、製造ラインコストに多大な影響をもたらします。

 

 

エアコンプレッサ業界では、大手数社が自社製品の初期設計の段階でインテリジェンス機能の搭載に取り組んでいます。コンプレッサが機器接続、通信、データ転送等の機能に対応することで、稼働状態や性能パラメータを自動的にオペレータへ報告し、必要に応じてメンテナンスエンジニアへ警告を通知。故障を迅速に修理し、次の故障を事前に防止する措置を講じることができます。

SWAN社とAdvantechの協業
台湾を拠点とした老舗エアコンプレッサ製造業者であるSWAN社は、コンプレッサ業界で最も採用されているロータリースクリューコンプレッサ(Screw Air Compressor:スクリューロータを回転させて圧縮)やレシプロコンプレッサ(Reciprocating Air Compressor:ピストンの往復運動によって圧縮)にリモートのデータ監視機能を搭載させるIoTソリューションを開発するべく、Advantechへ支援要請を求めました。その結果、AdvantechはSWAN社と協業し、同社にソリューションを提案しました。
 
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SWAN社のコンプレッサ

 

アプリケーション要件
このプロジェクトのソリューションでは、ユーザーから以下の要件を求められました。
①配備されたエアコンプレッサからデータを取得する方法を構築
②リモート管理実現のため、リアルタイムでデータを分析、視覚化
③ビッグデータ解析用に履歴データベースを構築
③アラート、通知を電子メールやメッセージを介して送信
④コンポーネントの保証期間や寿命期限をカウントダウン方式で事前に通知
 
ソリューション
コンプレッサは2種類用意されました。ロータリースクリューコンプレッサー(Screw Air Compressor)はデジタルコントローラーを搭載した、より進化したエアコンプレッサーで、シリアル通信、またはワイヤレスでエッジコンピュータをコントローラーに接続してデータを取得できます。伝統的なレシプロコンプレッサー(Reciprocating Air Compressor)は、機械内にコントローラーが内蔵されていないため、アドオンのデータ取得モジュールと統合して、メーター、スイッチ、センサーと接続して動作データを取得できます。(下記画像参照)
 
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これらのコンプレッサーに加えて、Modbus(PLC用のシリアル通信プロトコル)、インターネット、ワイヤレス通信を介し機器(コンプレッサー)のデータをサーバーに送信し、分析を行うためのエッジ・インテリジェンス・サーバーとして、Advantechの「EIS-D210」 が採用されました。Intel Celeron N3350プロセッサ上で稼働する、小型でコンパクトながら、強力な処理能力を備えたコンピュータです。コンパクトであるため、本来のコンプレッサ設計を変更することなく、ロータリースクリューコンプレッサの機械内に収まります。WiFiモジュールが内蔵され、コンプレッサーの制御ユニットと簡単に接続でき、動作データを取得できます。
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EIS-D210

 
WiFi接続モジュールに加え、 「EIS-D210 」にはシリアルCOMポートもあり、シリアル通信を介してエッジ・サーバーやコンプレッサーコントローラーに簡単に接続できます。さらにシリアルCOMポートは電力メーターと接続して使用でき、電圧や電流、電力、KW、KWHといったデータ数値を取得してエネルギー解析や省エネに向けた効率アップが図れます。

 

「EIS-D210」 には、AdvantechのIoTデバイス管理ソフトウェア「WISE-PaaS/DeviceOn 」があらかじめインストールされており、このIoTゲートウェイ能力を備えたエッジ・サーバーによって、現場で使用されているあらゆる種類の通信言語を標準IoTプロトコルへ変換することができます。このIoTエッジコンピューティング機能により、業界の多様なシーン、アプリケーション環境で簡単に、かつ迅速にソリューションを展開できます。

 

システム設計者は「WISE-PaaS/DeviceOn」 から複数のAPIを提示されるため、データの視覚化、結果の分析、カスタマイズしたメッセージの送信などを含むアプリケーション機能を簡単に開発することができるほか、クロスプラットフォーム機能によって、電子メールやLINEといったアプリケーションとリンクすることができ、ユーザーはデバイス上でいつでもどこでも機器の状態を追跡、把握できます。
 

このソリューションでは、機器のデータは逐一収集され、インテリジェント・エッジ・サーバーとクラウドプラットフォームに送信されます。その後、稼働中のコンプレッサの性能パターンを分析することで、ユーザーやメンテナンスサービスプロバイダーは、温度、圧力、空気量だけでなく、モーターやベルト、ベアリング、オイルセパレーター、エアフィルターといった設備の稼働状況を常時確認することが可能となります。監視システムは不具合に関するアラームを送り、故障が発生した場合にはメンテナンスエンジニアへ通知します。また、コンプレッサ製造業者のクラウドサービスが、コンポーネントの寿命が尽きる前にアラートを発行し、ユーザーへと通知します。クラウドサービスはオプションであり、必要に応じてクラウドサービスを介したデータのアップロードを行わない、という選択も可能です。

 
ソリューションの利点
  • 豊富な接続性とデータ取得機能で、現場データをバックエンドへと統合
  • インストール済IoTソフトウェアプラットフォーム「WISE-PaaS/DeviceOn」で、複数のAPIを利用してカスタマイズ可能なダッシュボードやメッセージを開発
  • コンパクトなフォームファクター、優れた処理能力を備えたエッジサーバーをロータリースクリューコンプレッサー内に組込み、コントローラユニットと直接接続可能
  • SWAN社のコンプレッサにAdvantechのエッジサーバーを統合し、予防保全メンテナンス機能を備えたリモート管理システムを構築し、Industry 4.0を実現
  • コンプレッサ製品の付加価値の向上、突然の機械の不具合を抑制、メンテナンスエンジニアの現地作業を軽減
採用製品 EIS-D210
EIS-D210
  • プロセッサ:Intel Celeron N3350 D/C SoC、Intel Atom E3940 Q/C SoC
  • RF接続:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac (2.4 GHz/ 5 GHz) 対応、Bluetooth4.1
    LoRa® Private(915/868MHzサポート)
  • 4GBメモリ、64GB SATA III SSD、ワイヤレス・ネットワーク機能付きWin 10 Enterprise
  • WISE-PaaS / EdgeSenseおよびWebAccess / SCADA
  • クラウドアプリケーション用のMicrosoft Azure IoT EdgeとAWS Greengrassを内蔵
  • 事前設定されたMicrosoft Azureサービス:デバイス管理パッケージ/データインテリジェンスパッケージ(オプション)
  • 事前設定されたAWSサービス:Connect&Collectパッケージ(オプション)
  • 包括的な開発ツールとドキュメント:Node-RED データフロー、ビジネスロジックの設計、ダッシュボードビルダー、プロトコルプラグインSDKおよび設定ツール

 

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Advantechについて

Advantechは、IoTインテリジェントシステムおよび組込みプラットフォームの分野でグローバルトップシェアのインダストリアル・プラットフォームメーカーです。「Enabling an Intelligent Planet(インテリジェントプラネットの実現)」をコーポレートビジョンに掲げ、近年はIoT、ビッグデータ、AIのトレンドを取り入れ、エッジインテリジェンスなWISE-PaaS AIoTプラットフォームとマーケットプレイスのインダストリアル業界向けソリューションを提供し、クライアントとビジネスパートナーとが結びつきを深め、AIoT時代の新たなビジネスをCo-Creation(共創)できるエコシステムの実現を進めています。

(ウェブサイト:www.advantech.com

アドバンテックテクノロジーズ(ATJ)について

アドバンテックテクノロジーズ株式会社 (略称:ATJ、旧オムロン直方) は、Advantechグループの日本国内拠点として、Advantech製品の販売ならびに、医療設備、ロボット産業、設備産業などのインダストリアル向け電子機器のMade In Japan 開発・製造サービス(DMS/ODM/EMS)を提供しています。Advantechの豊富なAIoT関連製品を日本国内のお客様ニーズに合わせたカスタマイズサービスにも対応し、AI x IoT時代の新たなデザイン・イン・サービスをご提案致します。

 

 

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